DXが流行しはじめ「RPA」という単語を広告や書籍、口コミなどで目にすることが増えてきたのではないでしょうか?
RPAは業務の効率化や人材不足を補う施作として非常に優秀で、導入する費用対効果が高いことから注目されているツールです。
RPAは幅広い業務に適用できるため、業種や職種を問わず普及しています。
しかし、RPAについて理解のないまま導入を進めてしまうと、期待した効果を得られないどころかコスト面でマイナスになってしまうケースも存在します。
ここでは、そんなRPAについて現役のRPAエンジニアである筆者が、RPAについての基本からRPAを使いこなしていくまでの考え方について解説していきたいと思います。
- RPAについて理解ができる
- RPAでできることがわかる
- RPAのメリット・デメリットがわかる
- RPAを導入する判断ができるようになる
- おすすめのRPAツールがわかる
- 優秀なRPA人材になる方法がわかる
RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語です。
主に定型業務のデスク作業を、ロボット(RPAツールのインストールされたPC)が代行・自動化するソフトウェアのことを指します。
具体的には、データの入力や転記、ファイルの複製や移動、アプリケーション間を経由した操作といった単純作業の定型業務を自動化してくれるツールのことです。
DX推進の重要な役割を担っている技術のひとつとして注目されています。
DXとは?
VUCAの時代だからこそ、企業や個人は社会の変化に柔軟に対応していく必要があります。
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」ではDXの定義について、以下のように記述されています。
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
(引用:デジタルコード・ガバナンス2.0 | 経済産業省)
デジタル技術の一例
- ビッグデータ
- AI
- IoT
- AR(拡張現実)・VR(仮想現実)
- Web API
- ブロックチェーン
DXとは
①データとデジタル技術を活用する
②組織・ビジネスを大きくを変える
③競合に勝てる仕組みを作る
DXとITの違い
両者の違いは「視点」にあります。
ITの推進は主に「社内業務の効率化」にあります。業務プロセスの効率化などを図るためにシステムの導入などを行います。
対してDXの推進は「ITを含むデジタル技術を駆使してビジネスを変革し、新しい価値を生み出すこと」を目的としています。
主な期待効果は「人材不足の解消」「売上拡大」などのビジネスの結果の部分に注目されます。
DXにおけるRPAの位置付け
DXとは「企業として行うべき戦略」のことを指し、RPAとは「DX推進のための施作の手段のうちのひとつ」ということになります。
RPAでは何ができる?
人件費の高騰や働き方改革の適用などから作業者への負担を軽減するために定型業務の見直し、自動化に目が向けられるようになりました。
RPA導入によって、従業員の工数削減や満足度向上・正確性の担保があるため、世界的に広まりつつあります。
業務における自動化の例
- アプリケーション間を超えたデータの取得・入力
- データ収集や分析、加工など
- システムのモニタリングやメンテナンス
- メールの本文作成・送信
個人利用における自動化の例
- フォーマットの決まった書類の作成と移動
- 設定作業の多い作業の自動化
- スクレイピングを用いた情報収集
マクロ(VBA)とは何が違うの?
RPAはマクロとは異なり、ExcelをはじめとするMicrosoft製品に限らず色々なアプリケーションを自動化することができます。
RPAを導入するメリット・デメリット
RPAには非常に多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
以下に一例を列挙します。
RPAのメリット
- 業務効率化・生産効率が向上する
- 作業者の業務負担を下げることができる
- 人的ミスをなくすことができる(正確性の向上)
- 人材不足の解消
- 人件費や消耗品のコスト削減ができる
RPAのデメリット
- 学習コストがかかる
- Webの画面操作などをUI操作で自動化した際、HTML構造の変化でメンテナンスが必要になる
- ネットワークの不具合や起動時間などの端末環境によるエラーが発生することがある
- 業務実行ロボットの開発に時間がかかる
- 業務によっては実行専用の端末を用意した方がいいケースもある
RPAの導入に適する例と適さない例
ここでは、RPAを導入したいと考えたときの判断材料になるケースをいくつか挙げています。
RPA導入に適する例
次のケースに当てはまる場合、RPAの導入で大きな効果を得られるでしょう。
- 企業全体でDX推進を期待する雰囲気にある
- ITツールを使用することに抵抗がない
- 自動化できそうな定型業務が大量にある
- 月間、年間で見て自動化による効果時間が大きい
- DX人材を育成する教育環境がある(または整えていく考えがある)
RPA挿入が適さない例
以下の場合はRPAの導入で効果を得られないことがあります。
- 自動化できる定型業務が少ない
- 自動化しても効果時間が変わらない(作業量が小さい)
- メンテナンスが面倒だと考えてしまう
- 新しい技術を取り入れることに抵抗がある
- そもそもにIT技術への理解度が低い
上記の場合でも、外部のRPAエンジニアに委託することで効果を得られることがあります。
主に利用されているRPAツール4選
以下は、株式会社MM総研が調査した「RPA国内利用動向調査」のうち、日本・世界的に広く導入実績のあるRPAツールから一部抜粋して紹介します。
UiPath
UiPathは海外産のRPAですが日本にも法人があり、マニュアルやサポートも整備されています。
デスクトップ型・サーバ型・クラウド型と利用範囲から実行環境を自由に選択でき、ロボット自体も多くのアプリケーションに対応しています。
その操作精度が高いことから「不得意なアプリケーションがほぼない」ことが特徴です。
またUiPath Orchestratorを利用することで開発したロボットをサーバで一元管理でき、稼働スケジュールの設定や監視・計測もできるようになります。
UiPathでは、UiPath Forumやnoteをはじめとした有志がノウハウ等の情報交換する場が活発なことも特徴的です。
また、無料で個人利用できるUiPath Community Editionは筆者もよく利用しています。
Automation Anywhere
Automation AnywhereはUiPathと同じく海外産のRPAですが、日本語サポートも充実しています。
クラウド型のRPAでWeb上からロボットの開発ができるため、どの端末からでもアクセス・開発ができるのが特徴です。
また、日本ではUiPathほどシェアされていませんが海外での実績はトップクラスです。
Automation Anywhereは、無料で利用できるAutomation Anywhere Community Editionというプランがあり、スキル習得のための環境も揃っています。
Forumページでは質問やノウハウの共有を行うことができます。
WinActor
WinActorは純国産のデスクトップ型のRPAで、マニュアルやサポートはすべて日本語です。
Microsoft Office製品だけでなく、IE、基幹システム、その他業務システムなど、利用できるアプリケーションに制限がないのが特徴です。
ユーザ同士が知識やノウハウを共有する「ユーザーフォーラム」も用意されていて、疑問が沸いた時に質問しやすい環境が整っています。
インストールしたPCで即使用できプログラミング知識も比較的必要としないため、初めてRPAツールを導入する企業に適しています。
Blue Prism
Blue Prismはイギリス企業が提供するサーバ型のRPAです。
オブジェクト指向の開発環境で共通部品の修正がしやすく、メンテナンス性に優れていることが特徴です。
また業務フローを作る際、一目でわかるデザインの簡潔さも特徴です。
Blue Prismにもユーザ同士でノウハウ共有するコミュニティは存在しますが、基本的に文章が英語なので語学に長けていない場合は解読が難しいかもしれません。
【デスクトップ型・サーバ型・クラウド型について】
デスクトップ型とは、各PC1台でロボットを管理し、実行させるモデルです。
サーバ型とは、自前のサーバに実行環境を構築し、ロボットを一元管理・実行指令を出すモデルです。
クラウド型とは、ベンダーから提供されたサーバ上でロボットを管理するモデルです。
RPAの学び方
RPAの学び方は大きく分けて3つあります。
①公式の学習教材を使用する
UiPathであればUiPathアカデミー、Automation AnywhereであればAutomation Anywhere Universityのように、公式でサポートしている教材がある場合はこちらから手をつけてみましょう。
開発環境の使い方からRPA化の考え方まで広く学べるのでおすすめです。
②書籍や動画教材で学ぶ
RPAについては書籍やYoutube等の動画からも学ぶことができます。
公式動画だけでは学べないテクニックなどを拾うことができます。
1次情報では無くなってしまうため、情報の正確さや最新化されているかに注意しながら学びましょう。
③自分で作って自動化してみる
身の回りの効率化したい作業から自分で自動化してみる学び方です。
実際に手を動かして自分自身で考えながら学ぶことができるので、身につきやすくおすすめです。
まとめ
今回は、RPAとはどういうものなのかについて詳しく解説してきました。
RPAを導入することで時間面や効率面で更なる価値を作り出せることがお分かりいただけたと思います。
また、RPAツールには今回紹介したものの他にも多くの種類があるので、自動化の規模に応じて選んでいただければと思います!
特に、個人利用や学習で利用する際は、無料で利用できるプランや教材なども揃っているので学んでおいて損はないです!
EnjoneerでもRPAをはじめとした開発のtipsを投稿していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
今回の記事を読んで「参考になった!」「使ってみたい!」「作ってみたい!」と思っていただけたなら幸いです。
RPAとは、
「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語。
主に定型業務のデスク作業を、ロボット(RPAツールのインストールされたPC)が代行・自動化するソフトウェアのこと。
RPAでできること
①データとデジタル技術を活用する
②組織・ビジネスを大きくを変える
③競合に勝てる仕組みを作る
RPAのメリット
①業務効率・生産性向上が期待できる
②業務負担を軽減できる
③人的ミスを減らすことができる
④人材不足を解消できる
⑤人件費などのコスト軽減につながる
おすすめRPAツール
①UiPath
②Automation Anywhere
③WinActor
④Blue Prism
RPAの学び方
①公式の教材を利用する
②書籍や動画教材で学ぶ
③個人で作ってみる
【脚注】
VUCAとは何か。VUCA時代を生き抜く企業に必要なこと | i-Learning
デジタルガバナンス・コード2.0 | 経済産業省
UiPath HP | UiPath
UiPath Studioのインストール方法 | UiPath
UiPath Orchestrator | UiPath
UiPath Forum | UiPath
note HP | note
Automation Anywhere HP | Automation Anywhere
Automation Anywhere Community Editionのセットアップ | Automation Anywhere
Developers | Automation Anywhere
WinActor HP | WinActor
ユーザーフォーラム | WinActor
Blue Prism HP | Blue Prism
Blue Prism Community
RPA国内利用動向調査 | 株式会社MM総研
UiPathアカデミー | UiPath
Automation Anywhere University | Automation Anywhere